Covid-19: 06 2021年夏の状況と新学期への不安

まずは11月以降の東京の新規感染者数のグラフ。

赤い線は、曜日による報告数の変化を吸収するための7日間移動平均。年代による色分けは適当だが、赤は60代以上、緑が40、50代、緑が30代、青は20代以下。ワクチンの効果なのか、全体数が大きくなっている割に60代以上の陽性者数は1月の第3波の時と同程度。抑えられているとも言えるし、全体数が上がると絶対数としてはこれだけ出てしまうとも言える。NHKによると、東京都の高齢者(65歳以上)で2回目のワクチン接種が済んでいるのは約83%らしい。8月以降、1回目接種を済ませた人の数があまり伸びていないことを見ると、一定数はこのまま残りそうな感じもする。

8月19日に俳優の千葉真一がCOVID-19による肺炎で亡くなった。報道によると、ワクチンは未接種だったとのこと。

問題はワクチン接種が殆ど終わっていない64歳以下で、日経によると、8月19日時点のデータで、東京都の12歳〜64歳で2回目接種が終わっているのは約19%だそうだ。ワクチン接種の対象となっていない12歳未満を含めると、64歳以下の接種率は更に下がる。

首都圏では、入院ができない、救急車の搬送先が見つからないと言った医療崩壊が始まっていて、自宅療養中の患者の死亡や、感染した妊婦が自宅で出産したものの新生児が死亡したなどの悲劇が報じられている。

菅首相は「医療体制の構築」「感染防止」「ワクチン接種」を三本柱と先日の会見で言っていたが、「医療体制の構築」も「ワクチン接種」も効果が現れるのはずっと先なので、まずは数千の新規感染者が毎日発生する現状を何とかしないと医療現場は楽にならないと思うのだが、「感染防止」のために新たな対策を講じる動きは今の所見えない。(緊急事態宣言の期間を延長したり、発出する地域を拡大したりというのは、既に緊急事態宣言を発出中の地域の感染防止策を強化していることにはならない。)

7月後半に比べると8月は若干増加のペースが緩やかになっているように見える。これがピークアウトになってくれると嬉しいが、陽性率は23%(8月20日時点)と極めて高い水準で、検査数が足りておらず実際の感染者数はより多いと推測される。(追記:新型コロナ 東京都で診断されていない感染者はどれくらいいるのか?(忽那賢志) – 個人 – Yahoo!ニュース

また、西浦博さんのこのツイートも不安要素の一つ。

色々な解釈が可能だが、学校の夏休みがブレーキとなったというのは仮説の一つだろう。デルタ株への置き換わりが進む中で、子供同士や、子供から大人の感染が発生しやすくなって7月の感染爆発が起こり、それが夏休みで一旦収まったのであれば、夏休みが終わったら?

子どもの感染増加傾向 学校での感染 どう防ぐ? | 新型コロナウイルス | NHKニュース

首都圏では多くの地域で来週から2学期が開始となる。近いところでは、横浜市は小中学校を8月中は臨時休校としたようだ。国はというと、文科省は8月20日付で「一斉休校は慎重に検討」という事務連絡を行っている。子供たちの学習機会や、学校のセーフティーネットとしての役割など、その主張自体は尤もと思う一方、デルタ株によるリスクの変化を加味できているのかという不安が残る。

また、夏休みが、帰省や旅行などでデルタ株の地方への伝播に悪い方向に働いたのか、多くの地方で感染爆発というべき状況となっている。

実家のある三重県は、ここのところ毎日のように過去最多を更新し続けて8月21日は427名

三重県は非常事態宣言の発出を政府に要請した。高齢者である両親のワクチンは住んでいるものの、三重県も12歳〜64歳のワクチン接種率は14%程度とそれほど高くないので、地元の友人たちが心配だ。津市のサイトを見ると、8月13日から21日まで、連日小中学校の陽性者の報告が発生している。夏休みでこの状況なのに、2学期が始まったらどうなるのか、というのが目下の最大の不安だ。医療資源が比較的豊かな東京で医療崩壊が発生しているのに、地方で感染状況がこれ以上悪化したら。

まあ、個人としてできることは、日々の感染症対策と自分や家族のワクチン接種をしっかりと行うしかないのだけど。あと、このコロナ禍において、政治家がどのようにその役割を果たしたのか、ちゃんと記憶して、次回の投票行動につなげるしかない。

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